小資本の書店は危ういのか?

今日は九つの書店に営業に行ってきた。、先週河北新報に『よみがえるふるさとの歴史3 イグネのある村へ』の著者菅野正道さんの記事が載り、3月半ばには仙台国際防災会議があり、というようなことで『よみがえるふるさとの歴史』シリーズ第一期4冊の店頭展示販売をお願いをしてきたところです。ベタなお願い営業だったので疲れた。若いころの飛び込み営業を思い出したが、さすがにあのころのエネルギーはもはやないなと痛感した。ちょっとショックなのは二つの店舗が3月一杯で閉店すること。仙台資本の書店がドンドン無くなってゆく。チェーン店も撤退する動きがある。本をとり巻く環境は実に厳しい。出版界も印刷業界も右肩下がりだし、書店もこんな状況。工夫をして頑張っている書店が取り上げられることもあるが、大勢は如何ともしがたいのか。書店はホッとする好きな空間だ。書店ごとに個性が有ったしね。各新聞の日曜日の書評欄を見るのは楽しいし、出版社の広告を見るのも楽しい。ああこの出版社は頑張ってたんだ、なんてこともある。情報を採るツールとしての本は衰退の一途をたどるのだろう。思考するためのツールとしての本は衰退の速度は緩やかなようだが果たしてどうなのか。文字を読み解くことで知恵を鍛えてきた人類は、これとは違った方法で生き延びる知恵を身に着ける方法を得ることができるのだろうか。今はその曲がり角に立っているのだろうか。動くことでさ様々な思いが湧いてくる。今は本を作る、だから良い本を作る、これしかないでしょ、と思いを呑み込んだ一日でした。

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加賀尋さんが「仙台・青葉祭り時代絵巻巡行絵図」を完成

このサイトに「アクアリウム・フィッシュ」を泳がせてくれている、加賀尋さんが「仙台・青葉祭り時代絵巻巡行絵図」を描き上げました。全長4.2メートル。約3000名の大群衆が練り歩くパノラマです。お薦めです!!!

http://kaga-hiro.blogspot.jp/

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『災害を超えて 宮城における歴史資料保全 2003 - 2013』(編者 天野真志 佐藤大介)

【新刊紹介】

宮城歴史資料保全ネットワーク10 周年記念シンポジウム

『災害を超えて 宮城における歴史資料保全 2003 - 2013』(編者 天野真志 佐藤大介)

「宮城歴史資料保全ネットワーク(略称:宮城資料ネット)」の発足から10周年を記念したシンポジウムの記録集が完成しました。注目を浴びる歴史資料保全の実際に触れる絶好の機会です。

[目次]

序文 平川 新 1
10 年目の歴史資料保全 天野真志 5
南三陸地域における大震災前後の歴史研究活動の
成果と課題  地元の人々と共に歩んだ史料調査
10 余年を振り返って 齋藤善之 15
自治体から1 村田町の活動 石黒伸一朗 27
自治体から2 栗原市の活動 大場亜弥 33
コメント1 建石 徹 43
コメント2 小林貴宏 46
総合討論 51
あとがき 佐藤大介 73
編者
天野真志
佐藤大介

お問い合わせは「宮城資料ネット」まで。

http://www.miyagi-shiryounet.org/00/front.htm

住所: 980-0845 仙台市青葉区荒巻字青葉468-1 E503

東北大学災害科学国際研究所 歴史資料保存研究分野研究室気付

NP0法人宮城歴史資料保全ネットワーク

・電話・FAX :022-752-2143

・eメール(*=@): office*miyagi-shiryounet.org

 

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『よみがえるふるさとの歴史3 イグネのある村へ 仙台平野における近世村落の成立』菅野正道著 遂に刊行。

大変お待たせいたしましたが、これで「よみがえるふるさとの歴史」シリーズ第一期分の4冊が出そろいました。「失われたふるさとの歴史をよみがえらせて、被災地の方々の心の復興に少しでも役立つことができればと考えて、このシリーズを企画しました」。この旗印の下、一冊また一冊と作品が姿を現してきました。これらは、被災地の混沌に打ち込む楔であり、被災者の祈りと共にある燈火です。学問に裏打ちされた、親しみのある作品群が、被災地と被災者の身近に寄り添う、そんな風景が広がっていくことを。

さて、『よみがえるふるさとの歴史3 イグネのある村へ 仙台平野における近世村落の成立』を紹介しましょう。

東日本大震災で大きな被害を受けた仙台の東に広がる沖積平野に、イグネ(屋

敷林)が点在する六郷と七郷と呼ばれる二つの地域があります。六郷と七郷が

隣り合いながらも、それぞれに異なる地域性を形成することとなる中世から近

世初期に注目し、今に至る歴史的基盤を紹介します。

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『よみがえるふるさとの歴史4 湯けむり復興計画 江戸時代の飢饉を乗り越える』高橋陽一著 刊行 !!

『よみがえるふるさとの歴史3 イグネのある村へ 仙台平野における近世村落の成立』に先行して、『よみがえるふるさとの歴史4 湯けむり復興計画 江戸時代の飢饉を乗り越える』高橋陽一著が刊行されました。

大津波の深刻な被害など意識になかった私たちは、苦い思いをしたばかりです。「飢饉=食糧危機」が私たちを襲うと心配している人はどれくらいいるでしょうか。江戸時代の飢饉とは、食糧危機から人口の激減、長期経済不況が、惨憺たる危機的状況をもたらしたそうです。それでも人々は自らの手で地域の再生をはかっていったそうです。温泉を利用した復興の姿が描かれています。高橋陽一氏は、この復興する人々の強さに強い共感を持っています。江戸時代とは形を変えて、現代社会の食糧危機は襲来するのでしょうか。周到な古文書調査の成果を読みながら、そんな思いにもとらわれました。

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『湯けむり復興計画 江戸時代の飢饉を乗り越えて』(高橋陽一) 製作開始

TPP交渉が話題となっていますが、食糧自給率が40%を切ったといわれる現在の日本において、「食糧危機」が深刻な課題として聞こえてくる機会は少ないように感じます。江戸時代の飢饉は自然災害ですが、今後日本において食糧危機が発生するときは、外交交渉の破綻が大きな要因を占めるのでしょうか。また一方に、〈異常気象〉が話題になり、その原因の説明などはなされますが、それだけのことに止まっています。さらに、世界に目を転ずれば食足りている国は誠に少ないことが分かります。大津波被害など、意識の外にあった私たちは苦い経験をしたばかりです。食糧確保に苦労したこともよみがえります。災害としての飢饉(食糧危機)は、私には思いもつかないことでしたので、強く興味を惹かれました。この作品に込める著者の言葉を聞いてみましょう。

「江戸時代の最大の災害は地震・津波ではなく、飢饉です。この災害の特徴は、当座の生命の危機(食糧危機)を脱した後も地域に社会的・経済的に暗い影を落とし続けることにあります。いわば長期的な不況です。仙台藩では、18世紀後半の天明飢饉の被害が凄惨を極めました。領内全体での死者は20万人に上ったと言われます。町や村の人口が激減し、復興が一筋縄では立ち行かない状況に陥ります。しかし、危機的状況に見舞われながらも、人々は自らの手で地域を再生しようと積極的に策を講じます。その1つが温泉を利用した復興です。江戸時代の人々が災害とどのように向き合い、それを乗り越えようとしたのかをお伝えしたいと思います。」

気鋭の若手研究者、高橋陽一氏の作品にご期待ください。

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『イグネのある村へ 仙台平野における近世村落の成立』(菅野正道)製作開始

仙台市の東部、太平洋沿岸の地域に、六郷と七郷があります。この二つの地域は隣り合いながらも、それぞれに異なる地域性を形成して現在に至ります。それぞれの地域を形作ることとなる、中世から近世初期に注目して、その歴史的背景が明らかになります。イグネが点在するのどかな田園風景を持ったこの地域は、このたびの東日本大震災で大きな被害を受けました。この六郷と七郷の歴史を後世に伝える使命感を荷って、著者は執筆を進めています。               「この地域のことを書きたい、書き残したい」と熱いものを感じさせ、しかも「背負った」ものの大きさに、読んでいて引っ張られてしまう力作。脱稿の時を、期待して待っているところです。みなさまも、おおいにご期待ください。そして発刊(7月)まで少々お待ちください。

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何が人を働かせるのか?

房守日録とは名ばかりで、月録にもなって無いぞ、と石つぶてが飛んでくるお粗末。これでは、成らじ、と心を入れ替えてキーを叩きはじめたしだい。

『慶長奥州地震津波と復興 四〇〇年前にも大地震と大津波があった』に、日本各地から東北の地にやって来て、その能力を遺憾無く発揮し復興に寄与した多くの人々のことが物語られています。自分の力を尽くすべきその時と場所であることを心得て、存分の働きをした様子が見てとれます。またそこには、ここを何とかしなければならない、という強い志が支えていたのだろうことも推測できます。そして、近い将来の設計図を基に現在の進む道を示すリーダーも大きな役目の一つであることが分かります。一寸先は闇。その闇の中に光を求めて、それぞれの立場の人たちが成長していくことで、初めてその光が導きの心強い光となり、人の営みが現在に繋がっているということなのでしょう。

400年前の様子を読みながらどうしても東日本大震災からの復興途上にある今を考えます。未来の目には、この東日本大震災からの復興はどのように見えているのでしょう。

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蕃山房リポート1

蕃山房リポート

311を忘れない 祈りの集い 2014

 

東日本大震災から三年目を迎えたこの日は、日差しはありながら雪が舞うこともある寒い一日でした。あの日も夕方から雪が降り始めた寒い一日だったことを思い出します。

「3・11を忘れない 祈りの集い」が2014年3月11日午後1時から、曹洞宗大蔵山松源寺(宮城県仙台市青葉区)において行われました。「東日本大震災三周年追善供養」と「『3.11慟哭の記録 71人が体感した大津波・原発・巨大地震』(新曜社)を読む」の二部構成で行われました。50名ほどの参加者を想定していましたが、80名を超える皆様のご参加がありました。

 

東日本大震災三周年追善供養

追善供養は松源寺本堂で行われました。はじめに、参列者の皆様に東海泰典(松源寺第三十五代住職)さんが挨拶しました。東日本大震災の犠牲者と、関連して急逝された方々に対し、一周忌法要、三回忌法要と供養を行ってきたこと。お檀家の方で直接被災し犠牲になられた方はいないけれども、友人知人のご供養ご焼香がかなわない方々のために、そのような場を提供したい思いもあったこと。今年は年会法要の年ではないけれども、犠牲者を悼み、復興のままならぬ遅々とした歩みの中で不便な不安な生活を強いられている皆様に思いをはせ、大震災を忘れない気持ちを強く持ち、大震災から学んだものをもう一度考える機会を持ちたいと思ったこと。このような思いのもとに、三周年追善法要を行うことにした、と催しの趣旨が述べられました。

住職と石塚哲英(埼玉県川越市東光寺住職)さんにより、法要はしめやかに執り行われました。まず、般若心経(般若波羅蜜多心経)があげられました。続いて、観音経(妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈)が唱えられる中、参列者のご焼香が行われました。こもごも手を合わせる皆様の祈りが本堂に満ちていました。

 

法要が終わり、朗読会の会場に移動しました。予定を上回る参加者でしたので、椅子の手配が間に合わず、お檀家の皆様をはじめ参加者の皆様にも椅子運びをお手伝いいただきました。

 

般若心経(般若波羅蜜多心経):僅か300字足らずの本文に大乗仏教の心髄が説かれている

観音経(妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈):釈尊の悟りそのもの、最高の真理が説かれている。

 

 

『3.11慟哭の記録 71人が体感した大津波・原発・巨大地震』(新曜社)を読む

朗読会は、松源寺永松閣で行われました。朗読は柴山光由(元仙台放送アナウンサー)さん、演奏は西田香(フルート奏者)さんです。この度は、予期せぬ事態がありました。柴山さんが9日にインフルエンザを罹患して、この日は登場できないことになったのです。

ご住職は柴山さんを見舞いました。そして、当日集まってくださる皆様に最善の対応を相談しました。いろいろと案はありましたが、柴山さんの朗読を録画して会場で上映することになりました。39度を超える発熱を圧して約1時間の朗読を行いました。会場で上映された動画を見てわかることですが、この日の為に入念な練習を積んでこられたことが分かります。ご本人もさぞ心残りであったことと思いますし、責任感の強さに頭の下がる思いでした。このような事情を背景として朗読会は始まりました。

ご住職はこの催しの意義を次のように話をしました。3・11は個人的にも公的にも、ダメージと教訓を残したこと。その中でも日常を取り戻すことのできない方々に思いを重ねて、復興の道を歩みたいと思い、心に残るイベントを行いたいと願っていたこと。縁あって『3.11慟哭の記録 71人が体感した大津波・原発・巨大地震』に出会ったこと。この本は被災者本人によって1年を経ないで書かれた、生々しい記録であると同時に、それゆえに第一級の歴史資料であると思ったこと。この本を朗読することで多くの皆様と、3・11を忘れない取り組みを行いたいこと。七回忌まで、この催しを継続したいことなどを述べました。そして当日会場に見えていた、本書の編著者である金菱清(東北学院大学准教授)さんを会場の皆様に紹介しました。さらに、柴山さんがインフルエンザに罹患し本日の登場はかなわないため、朗読の動画を上映するのでご理解をお願いしたい旨を告げ、朗読会が始まりました。

上手に控えていた西田さんがスックと立ち上がりました。静寂の中にフルートの音色が響きます。クロード・ドビュッシーの「シリンクス」です。終始たゆたうように流れ、神秘的で麗しいギリシャ神話の妖精の姿を巧みに表現しているこの曲により、会場は三年前の大震災の時点に誘われていきます。

柴山さんの朗読が始まりました。宮城県南三陸町での大津波体験談である「大津波ババのへそくり泥の中」です。家ごと津波に流され九死に一生を得た前半と、被災した人たちが力を合わせて心を合わせて生き延びようとする避難生活を描いた後半。柴山さんの抑制のきいた朗読が作品世界を活写する様は圧巻でした。夜空を見上げて、亡くなった方々を星になぞらえて詠われる詩の背景に、西田さんのフルートの音色は「アメイジン・グレイス」を奏でます。深い祈りが会場に沁みわたる情景でした。第一話は、「大自然に対する畏敬の念の心、人間のあまりにもおごり高ぶった生活への反省など、心にとどめておきたいと思う」と閉じられました。

西田さんのフルートは、ジュール・マスネの「「タイス」の瞑想曲」を奏でます。第一話の余韻を鎮め、第二話へ導く調べです。

第二話は、福島県大熊町での原発事故の体験談である「生まれた時から原発があった」です。大地震の揺れがおさまり原発のことが頭に浮かぶ。父親は原発で働いている。「最悪の状態を予感していながらも大丈夫かもしれないと思っていた」。数少ない情報の中、その期待は裏切られたことを知り、故郷を離れて逃避行が始まります。町民全員が故郷を離れるという未曾有の体験が述べられる前半。新潟にたどりつき、そこでの生活の様子が語られる後半。連絡の取れなかった父親が顔を見せて安心したこと。事故を起こした原発に働きに出る、疲れ切った父親の後ろ姿を見送ること。原発の町に生まれ育ったからこそ、その功罪に敏感であること。それでも原発事故以降の、原発バッシングの報道や世論には強い違和感を覚えるということ。全編を通じて語り口は静かですが、それがかえって不安と取り返しのつかない状況があぶり出されてくるような不気味さが支配します。「震災が私たちにどのような影響を与えたか、自分にとってどのようなものだったのかなどを言葉で説明するのは、あまりにもいろいろなことがありすぎて、私はいまだに難しいと感じている」と閉じられます。鼻水を啜りながら読み進める、柴山さんの朗読がリアルな印象を残しました。

東海さんが、閉会の挨拶を行い、西田さんの最後の演奏「花は咲く」が始まると、会場から自然に声が起こり、合唱となりました。退場される参加者の多くの皆様からはアンケートにご協力をいただきました。次回の催しの参考となることでしょう。

この催しは、ユーチューブで配信されました。さらに、松源寺のホームページでその動画を楽しむことができることになる予定です。

このようにして第一回目の「3.11を忘れない 心の集い」は終了しました。

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一歩先へ 二歩先へ 三・一一その先へ

被災者と被災地に寄り添い歩み続ける早坂文明氏の、「テレホン法話第二集」となる『一歩先へ 二歩先へ 三・一一その先へ』が、三月に刊行されます。この三月で三周年を迎える東日本大震災。遅々とした復興の歩みのなか、「小さな歩みを止めないでください。少しずつでも前に進みましょう」とテレホン法話は途切れることなく発信しています。

著者:早坂文明。発行者:只野俊裕。発行所:蕃山房。販売所:本の森。

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