『湯けむり復興計画 江戸時代の飢饉を乗り越えて』(高橋陽一) 製作開始

TPP交渉が話題となっていますが、食糧自給率が40%を切ったといわれる現在の日本において、「食糧危機」が深刻な課題として聞こえてくる機会は少ないように感じます。江戸時代の飢饉は自然災害ですが、今後日本において食糧危機が発生するときは、外交交渉の破綻が大きな要因を占めるのでしょうか。また一方に、〈異常気象〉が話題になり、その原因の説明などはなされますが、それだけのことに止まっています。さらに、世界に目を転ずれば食足りている国は誠に少ないことが分かります。大津波被害など、意識の外にあった私たちは苦い経験をしたばかりです。食糧確保に苦労したこともよみがえります。災害としての飢饉(食糧危機)は、私には思いもつかないことでしたので、強く興味を惹かれました。この作品に込める著者の言葉を聞いてみましょう。

「江戸時代の最大の災害は地震・津波ではなく、飢饉です。この災害の特徴は、当座の生命の危機(食糧危機)を脱した後も地域に社会的・経済的に暗い影を落とし続けることにあります。いわば長期的な不況です。仙台藩では、18世紀後半の天明飢饉の被害が凄惨を極めました。領内全体での死者は20万人に上ったと言われます。町や村の人口が激減し、復興が一筋縄では立ち行かない状況に陥ります。しかし、危機的状況に見舞われながらも、人々は自らの手で地域を再生しようと積極的に策を講じます。その1つが温泉を利用した復興です。江戸時代の人々が災害とどのように向き合い、それを乗り越えようとしたのかをお伝えしたいと思います。」

気鋭の若手研究者、高橋陽一氏の作品にご期待ください。

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