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よみがえるふるさとの歴史2 岩手県・宮城県・福島県

『慶長奥州地震津波と復興 四〇〇年前にも大地震と大津波があった』

伊達政宗も大震災を体験しました。東日本大震災は、貞観地震津波以来1000年ぶりの大震災と言われますが、政宗の時代に起こった四〇〇年前の慶長奥州地震津波が、それに匹敵する大震災である可能性が出てきました。古文書に書き記されたその実態に迫り、復興や防災につながる人間の意志と英知を尋ねる画期的な論考。

 2011年3月11日の東日本大震災は、それまでの学問の「常識」を覆す、強烈な一撃であった。地震学、津波学においては勿論、理系・文系を問わず、多くの学問分野において心ある学者たちは、それまでに寄って立っていた仮説を洗いなおし、予見を持たず事実に即して再構築する必要があることを表明した。歴史学においてもこの「思ってもみぬこと」に、正面から対峙した学者たちがいた。

 1995年の阪神淡路大震災以降、歴史資料保全の重要性を強く認識し活動を始めた歴史学者の一群があり、災害列島日本においてその活動は次第に認知され日本全国へと広がりを見せている。歴史資料の存在を探索し、被災した歴史資料を救済復元し、その歴史資料の所在地である住民の方々のアイデンテティを喚起する。その中の一つ、NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク(理事長平川新)は3・11以前から活動していたが、東日本大震災を当事者として被災体験する中、被災地の方々の心の復興に少しでも寄与することができればと願い『よみがえるふるさとの歴史』シリーズを企画したのである。

 本書はそのシリーズの第2巻にあたる。慶長年間、伊達政宗の時代にこの度の東日本大震災のような大地震と大津波があったことが述べられ、その復興の施策に関わった人物などが紹介されている。本書の魅力を述べてみよう。東日本大震災が起こるまでは被災地域も規模も全く実態と異なって評価されて「慶長三陸地震津波」と呼称されていた災害を、「慶長奥州地震津波」と命名したことである。古文書によって、太平洋沿岸の津波被害を確実にたどれる地域は、岩手県南部、宮城県全域、福島県北部であることを明快に述べている。
 さらに、震災復興にあたった各地域の人々の奮闘も活写されている。東日本大震災の復興の中に生活する方々へ思いを添わせながら、「慶長奥州地震津波」を生きた人々にも思いを通わせる、力感あふれる論考となっている。

 第二刷を後押ししていただいた読者の皆様に感謝申し上げるとともに、本書の議論が広がり、新たな古文書が見つかることにより、さらに慶長奥州地震津波の全貌に迫ることを期待したい。そして減災・防災に本書が益することを切に望みたい。(蕃山房主2017)

著 者:蝦名裕一

発行所:蕃山房

企 画:NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク

販売所:本の森

©Yuichi Ebina, 2014 Printed in Japan

ISBN978-4-904184-63-9 C0021

¥800円+税

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